日記

雪は誰に降るのだろう

liebeseele(リーベゼーレ)

 

すっかり忘れていた。

以前、宇都宮のbarで知り合った女子大生がいる。

大学三年生の、工学部に通っている少数派(少なくとも僕のまわりに工学部に通っている女性はいなかった)の女性だ。

会社の後輩と二人で飲んでいる時に後輩が声をかけ、三人で飲むことになった。

人懐っこい子で、大学進学のために北陸から宇都宮へ引っ越して来たらしい。

声をかけた後輩をまったく警戒せず、僕と後輩が飲んでいたテーブルに加わった。

細身に非常に胸の大きな子で、後輩が鼻息を荒げていて笑ってしまった。

その子と知り合ったのが夏頃。僕も後輩もそれぞれ連絡先を交換したが、後輩はしばらくその子を狙って奮起していた。

しかし悲劇が起きた。

年齢がより離れているというだけで、その子はこちらに興味を持った。もちろん男性的な魅力を感じている訳ではなく、単純に社会人と仲良くなりたかったのだろう。

後輩も紛れもなく社会人だが、浪人しているその子とは2つしか年齢が違わなかった。

また、工学部のその子が将来的に志望している企業の1つに僕が勤務しているという事も理由の一つだった。僕が勤務している会社には、唯一無二の計測技術があった。工学部に所属している学生ならば、業界を言えばピンと来るかもしれない。

顔もスタイルも間違いなく後輩の方が秀でており、二人で歩いていたらよくモテるのは後輩だ。

しかしその時ばかりは、何故かその子から頻繁に食事の誘いがあった。

タイミングが合わなかったのと後輩が狙っているのを知っていたので、僕は食事の誘いを断り続けた。

十月頃まで断り続ける日々が続き、ある日を境にパッタリと誘いの連絡は止んだ。

僕も彼女のことはすっかり忘れていた十二月半ば、再び彼女から連絡が来た。

「そろそろ一度、ご飯に行って下さい笑」

十一月から最近まで懇意にしていた奴隷がいたので、特にその子と年齢の近い女性と接触することは避けていた。

しかし特に予定もなかった僕は、今晩会うことを了承した。夏に知り合った頃、彼女に彼氏がいることを僕だけは聞いていた。(後輩にはかわいそうで言えなかった)

クリスマスのタイミングで連絡をしてきたという事は、彼女も暇になったのかもしれない。

そういえば毎年何故かクリスマス近辺は、彼女ではない女性と過ごすことが多い。

久しぶりに、調教が絡んでいない女性と会う。

僕が作家であることもアブノーマルである事も前提としない女性と二人で会うのは久しぶりだ。

とりあえず、話のネタに濃厚なブイヤベースの美味しいお店を予約しようと思う。

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調教希望

 

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