
もう10年近くこの「M女のための調教ブログ」を運営してきた。前身のサイトを含めると20年近くなる。
僕は今30代後半だが、サイト運営を始めたのが早かったこともあり本当に数え切れないほどの女性たちと対話し彼女たちの人生の断片に触れてきた。
主従関係という特殊な世界に思い切って踏み込み、そこで自分なりの幸福を見つけた女性。
反対に踏み込むことを諦め、日常の生活の中でその強烈な欲求を必死に抑え込みながら生きる女性。
サブミッシブ(服従願望)という個性を持つ女性がどのようなきっかけでこの世界に足を踏み入れ、どのような葛藤を抱え、そしてどのような人生を歩んでいくのか。
今回は多くのサブミッシブ女性と交流を持つ中で客観的に見てきたエピソードをまとめてみたい。
彼女たちの物語は決して特殊なものではない。あなた自身の人生と重なる部分がきっとあるはずだ。
他のサブミッシブ女性がどんなことを考えどんなことに悩んできたのか?
主従関係に興味のある女性にとって参考になれば幸いである。
目次
エピソード①:好奇心が抑えきれずに学生時代から踏み込んだ女性
大学生・専門学生というのは学生の身分でありながら高校時代よりも自由度が高くなるケースが多い。一人で活動できる時間が増え、それまで踏み込めなった領域に踏み込んでしまう。
ある女性は中学生の頃からSM・被虐的な行為に興味があった。
きっかけは幼いころにみたアニメのワンシーンで、スマホを持つようになってからSM系の画像や動画を見るようになったという。
映像を見ているうちに自分の中にある「支配されたい」「調教されたい」という強烈な好奇心をどうしても抑えきれなくなっていた。
高校生の時に同級生とセックスをしたこともあるが満たされず、経験のある男性からのSM調教を求めていた。
若さゆえの行動力は、時に大きな危険を伴う。
特にこの界隈では経験の浅い若い女性を狙う悪意を持った人間も少なくない。
しかし彼女の場合、早い段階で自分の性癖は一般的ではないということを自覚し、恐れよりも好奇心が勝って行動に移したことで結果的に相性のいい良質なドミナントと出会うことができた。
彼女は自分がどのような言葉で興奮し、どのような支配を心地良いと感じるのか。早い段階で自己理解を深めることができたのだ。
社会に出て働き始めてからも、仕事の重圧や人間関係のストレスと週末の主従関係による精神的な解放のバランスを上手く取りながら非常に安定して生きている。
自分の深い欲求から目を背けなかったことが結果的に彼女の人生全体を豊かにしている好例だと言えるだろう。
彼女の場合はたまたま尊敬できる良いパートナーと出会うことができた。
ただもしここ読んでいる学生読者の方がいるとしたら、自分の判断力や男性を見る目は未成熟であるということを十分に理解しておいてほしい。
年齢が離れている相手には不信感があっても意見をしにくい。違和感を感じたら、ためらわずにSNSや当ブログの悩み相談を活用して吐き出してみてほしい。
エピソード②:彼氏とのセックスレスがきっかけで踏み込んだ女性
僕が相談を受ける中で最も多いケースの一つだ。
ある女性は、長く付き合っている彼氏との関係自体は非常に良好だった。
しかし恋人との同棲が始まり日常の距離が近くなりすぎたことで穏やかな距離感が急激にストレスに変わってしまうこともある。
喧嘩も少なく休日は一緒に出かけ、長時間過ごしていてもストレスはない。しかし夜の生活だけが完全に失われてしまう。
四六時中一緒にいることで彼女の中の「サブミッシブな欲求」は抑圧され、異常なまでに高まっていったのだ。
「このまま女性としての人生が終わるのだろうか」
その焦燥感は男性には想像もつかないほど深く重いだろう。
彼女にとって彼氏は完全に「家族化」してしまっており、いまさら刺激的なセックスを求めることは難しく、そもそもセックスをする雰囲気にならない。
欲求不満が続いたことで、彼女はもともと興味のあったSM調教への願望を抑えきれなくなってしまったのだ。
浮気をすることの罪悪感と彼氏への不満のバランスは難しい。
女性側からセックスに誘って断られた経験はトラウマとなってしまい、それ以来一切誘うのが怖くなってしまったというケースもある。
この例で多いのが、女性側が美人だったりスタイルが良い(男性に好かれやすい)、もしくは彼氏にとって理想的すぎるタイプだった場合である。
交際初期は高頻度で求められたものの、男性の性質上同じ女性と行為を重ねることが難しくなってしまう場合がある。
女性は変わらず魅力的であるにもかかわらず、男性側が早期にその女性とのセックスへの関心が薄れてしまったパターンだ。
この場合当然女性側に罪はない。同居人としての最適解が彼氏であっても、性を満たす相手の最適解が彼氏ではない場合はある。

エピソード③:恋人の愛情と性的嗜好を満たすことを分けて考える女性
ある女性は非常に理知的で、自分の性格と欲求を冷静に分析できていた。
恋人には「日常の安心感や癒やし」を求め、ドミナントには「非日常の支配される刺激」を求める。
恋人に求めるものとご主人様に求めるものを明確に分けて考えていたのだ。
恋人に無理やりSMプレイを求めることはせず、ご主人様に恋愛感情を求めることもしない。
中途半端なSMごっこは返って自分を落胆させるということをよく理解しているのだと思う。
このタイプの女性は将来をともにするパートナーはそれに適したスペックの相手を、主従関係を結ぶ相手は刺激の強い相手を選ぶ傾向がある。
日常と非日常の境を守ることを重要視し、混同はしない。
人生を楽しむのが上手な女性であると言える。
エピソード④:一度経験して離れ、数年後に再燃してハマってしまった女性
「M女のための調教ブログ」から調教希望の問合せがあり関係を結んだ女性の中には、一度の調教で関係を終える女性もいる。
その中で多い心理としては「ずっと憧れていたSM調教を経験して満足できた」「ハマりすぎてしまいそうで怖い」といったものである。
特に満足できてSM欲が発散できたと感じた女性は、それまでの願望が晴れたように日常生活に戻る。
SM欲がなくなる。恋人との関係や穏やかな日常生活を過ごす。
しかし数年単位で時間が経過したあと、なくなったはずのSM願望がより強くなって止められなくなってしまうことがある。
より願望が強くなるのには明確な理由がある。
過去に実体験として解放感を知ってしまった脳とカラダはそれを決して忘れることができない。彼女の脳には「支配される快楽」の回路がしっかりと刻まれていたのだ。
そうして再会した女性は以前よりももっと深く関係とプレイに溺れるケースが多い。
こちらの人間性を知って安心しているのと、与えられる刺激を覚えているので緊張していた初回よりも心もカラダも純粋に楽しめる場合が多いのだ。
再燃した女性の没入は酷く、会わなかった数年間が嘘のように高頻度で調教を求めるようになる。
エピソード⑤:夫との生活では満足できずに踏み込んだ女性
ある女性の夫は、優しく真面目で子煩悩な、世間から見れば「理想の夫」だった。
しかしその「優しさ」こそが彼女のサブミッシブな欲求を満たせない最大の理由だった。
結婚をしているという事実は24時間女性を抑圧する。
彼女は夫を深く愛しているからこそ、夫には自分のアブノーマルな願望をぶつけることができなかったのだ。
優しい夫に自分を汚し、支配し、痛めつけてほしいとは口が裂けても言えない。
結果的に彼女はネットで良いパートナーに出会うことができた。
しかし会う時間や内容が限定されることが歯がゆく、それまでに主従関係のパートナーを探すという行動を起こさなかった自分を悔やんだという。
これは不倫を推奨するものでも認めるものでもない。
ただ、サブミッシブにはその嗜好の中でしか満たされない部分がある。

エピソード⑥:パートナーを探し始めたのが遅く、理想の相手と出会えない女性
残酷だが、年齢の壁に関する話は避けては通れない。
ある女性は自分の内なる欲求にはずっと昔から気づいていた。
しかし世間体、罪悪感、そして何より「未知の世界への恐怖心」からどうしても行動できず、欲求を押し殺したまま年齢を重ねた女性がいる。
40代になり「このままでは一生後悔する。自分のために生きよう」とようやく決意してパートナーを探し始めたものの、彼女は大きな壁にぶつかった。
自分が求める高い知性や包容力を満たすドミナントとなかなか出会えないのだ。
残酷な事実だが、この世界では若さが一つの大きな武器になることは否定できない。
選択肢が狭まる中で妥協して質の低い相手と関わり傷つくこともあった。
彼女がふと漏らした「もっと早く20代の頃に、結婚前に行動していればよかった」という後悔の言葉は非常に重く響いた。
この話は当然男性にも当てはまる。いつか落ち着いたらパートナーを探そうと年を重ねたまま40代、50代を迎えた場合に、自分が求められる相手は限定される。
この界隈には自然な出会いはない。
自ら動いて相手を求めることでしか得られない。
また大切な考え方として、性的欲求のピークが何歳で訪れるかということを考えておいた方がいい。
例えば現在20代のあなたは、やはり恐怖が勝ってSM調教は自分には現実に起こりえないことと一線を引いたとしよう。
しかし年を重ね40代を迎え、そこで性欲のピークやサブミッシブ願望のピークを迎える可能性がある。
そこからパートナーを探そうとすると、先述したように上手くいかない可能性は高くなる。
今の自分、未来の自分の気持ちを想像してみる事もとても大切だ。
エピソード⑦:結婚後に欲求が高まったが、理性が働き発散できずに苦しむ女性
ある女性は20代後半で結婚し、子供も生まれ、社会的にも経済的にも完全に安定した生活を手に入れた。
しかし皮肉なことに、その完璧な安定と引き換えに彼女の中の「支配されたい」という欲求は30代後半を迎えてかつてないほどに高まっていた。
「今さら失うものが多すぎる」
その強い理性が彼女の行動を何重にも縛り付けている。
夫にバレるリスク、子供への影響、築き上げた社会的な立場。それらを天秤にかければ行動に移せないのは当然だ。
現実で発散する場所を持たない彼女は、ネット上の調教体験談を読み漁り空想の中でだけ支配されることでかろうじて自分の心を保っている。
彼女の抱える葛藤は外からは見えず静かに、しかし確実に息を詰まらせているような苦しさがある。
終わりの見えない苦しさは、温かい家庭の中で彼女を孤独にする。

まとめ:出会えたら終わりではない
ここに挙げた7つの例はほんの一部に過ぎない。
サブミッシブという個性を抱える女性の人生は、一人ひとりが全く違う背景と葛藤を抱えており多様である。
多くの女性を見てきて一つだけ確かなことがある。それは主従関係のパートナーは「出会えたらそれで終わり」ではないということだ。
たとえ運良く自分の欲求を満たしてくれるパートナーを見つけたとしても、その相手があなたの人生を長く預けられる、人間として信頼に足る相手とは限らない。
関係性が時間の経過とともに変わっていくこともあれば、環境の変化によって別れが訪れることもある。
ドミナント側の人間性が露呈し、深く傷ついて終わるケースも山ほど見てきた。もちろん僕も例外ではない。
一人の理想的なご主人様と出会えたらそれが最も幸福だが、そうはいかない実情がある。
だからこそ自分の内なる欲求から目を背けずに向き合うこと、言語化をして自己理解を深めることはとても重要だ。
あなたの人生を幸福にできるのはあなたしかおらず、あなたの服従願望を最初に満たすのはご主人様ではなくあなたの選択なのだから。

