朝から雨が降り、街を白く曇らせている。
季節の移ろいに伴い少しづつ空気は温度を失っていく。冷えた部屋の中ではまだ空調を整える程ではない。
その中で淹れたホットコーヒーは、世界で唯一の熱源のように身体を温めてくれる。
僕は調教を行ったあとに、少しだけ一人で飲んで帰ることが多い。
帰る方角が同じであっても駅で従者を見送り、大体はバーに入ってその日の出来事を反芻する。
朝からの準備、待ち合わせ、会話、調教。必要であればメモにもまとめる。
それらを整理することは、僕が従者にできる僅かばかりの誠実さの一端である。
従者への愛情は、考えた時間に比例すると思う。
セフレのようになってしまい、とりあえず会って抱いて、何となくの調教をして。そういった関係を自分は望まない。
もちろん、関係が長くなれば突発的にお互いの出先から会ったり、急に食事に行くこともある。普段の下地があれば、それはそれで趣き深いものになる。
しかし毎回無計画に、思いついた時に動くだけではやはり性欲の発散運動でしかない。
従者の女性は男性側の想像以上に「ご主人様」に期待している。
一度の調教に対する想い入れがとても強く、可能な限り様々なモノを受け止めようとする。
初めての主従関係に進む時にサブミッシブ(服従・従属嗜好)という言葉に出会う女性は多いだろう。当ブログへのアクセスの切っ掛けとなるキーワードもサブミッシブという言葉が継続して最も多い。
主従関係が始まる時に下記のようなパターンがある。
- 自身のサブミッシブ性(その時はこの言葉自体を知らない)を感じる相手に出会う
- サブミッシブという言葉を初めて知り、自分の性癖を表現する言葉がある事に気づく
- 切っ掛けとなった男性と(多少は勢いもありながら)関係が始まる
- 自分がご主人様に求める要素が明確になってくる
今回は4について書きたい。
従者がご主人様に求めるもの、それは「こうあるべき」というものは一切なく、基本的には女性側の自由だ。
絶対的な存在・精神安定剤・何でも話せる友人のような相手・特殊なプレイが許される恋人・肉体的な調教をひたすら受けたい相手。女性は様々な要素をご主人様の中に求める。
これに加えて、リードをする立場であるご主人様の考え方や嗜好が2人の関係構築に大きく影響する。自分の明確な意思はなく、とにかくご主人様がしたいことを達成するのが幸福な奴隷もいる。
どの要素に溺れてご主人様との関係に溺れるかはその女性の意思次第であり、それがずっと明確にならないのであれば上手く関係にハマっていないかもしれない。
主従関係において「型にはまらない」「新しい関係性を」という言葉をSNS等で見かけるが、この話とは論点がずれる。
新しい型を模索するのはもちろん素敵だが、その中にも女性がご主人様・主従関係に何を求めるかという核のようなものは絶対に存在する。
自分が求める核とご主人様が与えられるものに相違が起きた時、きっと関係は破綻する。
例として「精神的な支柱として接していたのに、ご主人様の言葉に一貫性がなくなって信用ができなくなる」等だ。
主となる側は、我々男性の思っている以上に従者は主従関係への期待も愛情も大きいという事を認識しておかなければいけない。
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