小説・散文

モーニング・グローリー

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静かな夜が好きだ。

時計の針がきれいな直立を過ぎた頃、少しずつ世界から音と光が消えていく。

昼間に分かり合えなかったあの人にも、スマホに向かって指先で何者かを演じ続けているあの人にも、誰かを泣かせてしまった人にも涙の止め方がわからず誰かを困らせてしまった人にも、静かな時間は等しく訪れる。

しかし静かな時間が穏やかであるとは限らない。

雑音が無いせいで辛い感情を拭えなくなったり、会いたい人への想いが募り過ぎてしまうこともある。心臓の音が気になって眠れないかもしれない。

たまに、頭はよく働き過ぎると思うことがある。

誰かに対しての悪口を思いついたり、自分を守るための嘘を考えてくれる。とても機能的で献身的だ。

「善い」と「悪い」、「好き」と「嫌い」は連続しているし、それらは入れ変わることもある。

雨を嫌っていた人が、店先で気に入った傘を買った瞬間に雨が降って欲しいと願う。

何かが加わる事で、好きと嫌いは上手く繋がるのかもしれない。ないしは反転すると表現してもいい。

思考は想定していたよりもずっとシンプルで、傷つきやすく、面倒くさい。欲しい欲しいと喚きながらも、自分で遠ざけてしまったりもする。

ぐちゃぐちゃになってしまった自分を楽にしようと、涙が溢れてくる事がある。きっとひどい顔で、人に会えるような表情じゃない。

僕らは繰り返し喜んだり怒ったり哀しんだり楽しみを得る。それと同じくらい、人に喜怒哀楽を与える。

繰り返している内に、あれが欲しいこれをしてみたいという事すら言い出しにくくなってしまう。なりたかったモノすら忘れてしまう。

諦めた訳じゃないのに手放さなければいけなかったいくつかを、時折思い出して堪らなくなる。

 

すべての悲しみと後悔が夜に片付いてしまうと良い。空が黒から青に変わるのと同じように、ぼんやりとなかった事になってしまえば。

諦めて忘れたいくつかの事が生まれ変わって、新しい朝を連れて来る。

 

朝になったら咲いてほしい。

それが昼にはしぼんでしまうとしても。

朝は誰にも等しく新しい。

 

 

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