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モーニング・グローリー
2021/12/7
静かな夜が好きだ。 時計の針がきれいな直立を過ぎた頃、少しずつ世界から音と光が消えていく。 昼間に分かり合えなかったあの人にも、スマホに向かって指先で何者かを演じ続けているあの人にも、誰 ...
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めぐり逢い
2021/12/7
朝と雨とウイスキーが好きだ。 だからといって雨の降っている朝にウイスキーを飲もうとは思わない。 それぞれは独立していて、何もかもを混ぜてしまうのは返って魅力が損なわれる。 またそれぞれには相性の良いパ ...
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短編調教小説「新世界」
2023/4/15
待ち合わせ場所に、裕也はいつも正確な時間に現れる。正確だからこそ、五分前から待っていれば樹里が裕也を待たせることはなかった。 「行こうか」 現れた裕也は、挨拶もなしにそう言って歩き出す。 樹里は小さく ...
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SM短編調教小説「彼女の喪失」
2023/9/24
優紀子が二人いると知ったのは、関係が始まってから4ヶ月目の事だった。 拘束され、醜い形をした玩具で責められている時の優紀子は淫靡な表情を浮かべる。男心をくすぐるその表情は、僕でなくても優紀子がマゾだと ...
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海の底で
2021/12/7
深夜の静寂は海の底に似ている。 太陽の下で対応した様々なことに疲弊し、深夜、一切の灯りを消して部屋のベッドに横たわる。 光も、音も、匂いも、何も入ってこない。インプットが遮られた状態で、 ...
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SM短編調教小説「完璧なご主人様」
2023/9/24
部屋に入ると乱暴にドアを閉め、荒々しく内鍵を閉める。重いドアの風圧で埃が飛んだ。最近は掃除をしてなかった。いや、させていなかった。 埃の舞う短い廊下を抜け、リビングに入る。電気を点けるとうんざりするぐ ...
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クドリャフカと目覚まし時計
2021/12/7
執筆の関係で、深夜まで作業をしなければならない時がある。 普段はあまり夜更かしはせずに朝の早い時間から活動をするのが日課となっているが、時折深夜に作業を集中させる。 真夜中の雰囲気がとて ...
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雨ごしに見る地球
2022/12/27
僕はよく「価値観」という言葉を使う。 それはその時々の自分を定点観測するための測器でもあるし、人によってその物差しは「成長」とか「成功」とかそういった言葉を用いるのかもしれない。 言葉に限定はなく、自 ...
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SM短編調教小説「いつもの風景」
2023/9/24
床に額を着ける時、いわゆる土下座の姿勢は多くの場合謝罪の中の一過程として用いられる。しかし恭子が謝罪の為にこの姿勢を取ったことは殆どなく、その多くが優一との「事」が始まる時の儀式的なもの ...