心象スケッチ・小説

雨ごしに見る地球

liebeseele(リーベゼーレ)

僕はよく「価値観」という言葉を使う。

それはその時々の自分を定点観測するための測器でもあるし、人によってその物差しは「成長」とか「成功」とかそういった言葉を用いるのかもしれない。

言葉に限定はなく、自分がもっともわかりやすい言葉を選べばいい。

人には多くの矛盾が内在する。それはきっと人には分からないものだし、顕在化して目に付く矛盾もあるかもしれない。

僕は新しい情報に触れるのが好きだが、対照的に自分の感性を守りたいとも思う。新しい情報を取り入れるのは簡単だが、自分が元々持っている感性を汚さないように保ち続けるのは難しい。

達観した老人のような優しい眼差しに親しみを覚えるし、お腹が空いたと泣き喚く幼子の素直さに憧れる。僕は現実主義者であり合理主義者だが、小説という空想の塊のようなモノを生み出し続けている。それも矛盾だ。

 

感性が腐っていくことは最も避けなければならない。

 

宇宙にぼんやりと浮いている地球のことを考えてみたり、公園の東屋で雨の匂いを楽しんだり。時折自分がこの世界の一員だということを確認しないと、きっと傲慢になってしまうだろう。調和を図る、ということだ。

得てして主人を名乗る人間は傲慢になりがちだ。

主人を名乗れば支配権を得る訳ではないし、何も特別な存在ではない。金で買えるモノに大した意味はないし、金で買えないモノにも大した意味はない。重要なのは自分が何を大切と捉えるかだ。

ただセックスをしたい人には、きっと僕は主人には向かない。僕はその人を知りたいし、理解したい。その上で、最も欲しているものを与えたい。Mであることは普遍的であると伝えてあげたいと思う。

 

マゾであることは何も特別ではないし、尊ぶべき感性だ。

 

それはきっと浮かんでいる地球のことを想像したり、雨の匂いを楽しむのと同じように。

 

2つの人生がふれあう幸福

好奇心の奴隷

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